中国拳法と融合した唐手(トーディー)は、士族の多かった首里や那覇、泊を中心に盛んで、1800年代末期ごろ、その地域名を冠して呼ばれていました。首里士族の間で発達したのが「首里手(スイディー)」、那覇西町を中心に久米・泉崎で発達したのが「那覇手(ナーファディー)」、泊方面で発達したのが「泊手(トゥマイディー)」です。
<沖縄の三大流派>
現在、沖縄県内には380余りの空手道場があり様々な流派がありますが、首里手や泊手の流れをくんだものが「しょう林流」(小林、少林、松林)へと派生し、那覇手の系譜が「剛柔流」へと受け継がれています。
この「しょう林流」「剛柔流」に、戦後「上地流」が誕生し、これらの流派は沖縄3大流派といわれています。
<沖縄空手の本質とは何か>
競技、いわゆるスポーツとして世界各国へ広まっている空手。
しかしながら、本来の沖縄空手というのは、強さや技のうまさや派手さを競うものではありません。
「空手に先手なし」(船越義珍)、「人に打たれず、人を打たず、全て事なきを良しとする」(宮城長順)など、空手の大家が残した言葉が表すように、「戦わずして勝つ」という精神が大切にされています。そのため、空手の形(型)は、すべて「受け」から始まります。
決して自分の力をひけらかすようなことはせず、自ら争いごとを起こさない。
いざというときのために自身を、そして周りを守るためいつなんどきに備えて日々の修行を怠らない。
ただ単に技術のみを習得するのではなく、心身の鍛錬を通して自己を高め、何事にも動じない精神を養い、そして礼節を重んじる。それが沖縄空手なのです。
そんな「空手の真髄」を学ぶために、沖縄には世界中から空手家たちが訪れます。
2017年3月には沖縄伝統空手の保存、継承、発展を図り沖縄の空手文化を発信していく「沖縄空手会館」が豊見城市にオープンしました。
「沖縄ものがたり」の記事より 掲載日:2017.10.06