沖縄の空手について

鉛筆 組手競技におけるルール

 現在、組手競技におけるルールには「寸止め」・「防具方式」・「直接打撃方式」という タイプがある。その他に主流とはなっていないが、競技ルールに寝技の有り無しを取り入れて いるものもある。

<寸止め方式>

 試合中に技が体に届く直前に止められる、もしくはダメージを 与えない程度に軽く当てる、というスタイルである。ダメージを与えていないため、まず怪我 を防ぐことができる。力強さや打たれ強さよりも、技の正確さやスピードが評価される。

 また、 実際に相手に攻撃的に当てた場合は反則となる。技が実際に決まったかどうかを判断できるか どうか、審判員には高い能力が求められることになる。 技を当てない「寸止め空手」は、実戦に役立たないとして、多くの実戦空手体験者によって 批判されている。

 寸止めだけ練習していると、空手家には打たれ強さや痛みの慣れが無いため、 いざ実践となった場合、空手が護身術として役に立たない恐れがあるからだという。

<防具方式(セミコンタクト、ライトコンタクト)>

 「直接打撃方式」 と「寸止め方式」の間で発達したスタイルである。「ライトコンタクト」の場合は、技を軽く当てても良いというルールである。

 従って、「セミコンタクト」の場合、力を抜いた技、つまり全力でない技を当てても良いというス タイルである。

 「防具方式」の場合、格闘技専用の防具を体に付け、試合を行う。防具には、拳用のグロー ブや足用の脛サポーター、膝サポーターなど、また上半身につけるボディープロテクターや頭 に付けるヘッドガードなどがある。

 防具を付けることによって、試合中に、怪我を防ぎ、安全 性を高めることができる。危険だと思われる子供や少年選手の試合に防具を付けるルールが採 用されている。

 未成年以外にも、壮年部の試合で防具を付けることが多い。体を鍛え続けた空手家でも年を取ると骨折や捻挫などの怪我をする可能性が高まるからである。

<直接打撃方式(フルコンタクト)>

 組手試合中に、 全く防具を付けずに、素手や足や膝などを使って全力で相手を打撃するという戦い方のことで ある。「フルコンタクト」という言葉が定着する以前は、「実戦空手」とも呼ばれていた。

 フルコンタクト空手は、寸止め空手(伝統派空手)の対義語であり、略して「フルコン」とも 呼ばれる。 当然ながら、フルコンタクトの試合中に体のダメージ(痛み、打撲、怪我)がおこりうる 可能性がある。極端な場合、攻撃による骨折、または一時的に意識を失うケースもある。

 直接打撃制ルールの代表的な空手流派には、「 極 真 (きょくしん )」、「正道会館( せいどうかいかん) 」、「芦原会館( あしはらかいかん) 」、 「白 蓮 会館(びゃくれん かいかん )」、「JFKO 全日本フルコンタクト空手道連盟」などが存在する。

 直接打撃制ルールには、試合安全のため最低限の禁止技が決められている。手の技(正拳、 裏拳、貫手など)により、顔面や首を狙った攻撃、「玉攻め」、「金的蹴り」とも呼ばれる技 が禁じられている。背骨を狙った突きや蹴りも禁じられる場合が多い。 

               ザハルスキ アンジェイ 氏の論文より